2018 年 39 巻 2 号 p. 73-83
フェノール樹脂を強靭化するために著者らが行ってきた研究を,種々の原料や改質剤を用いて樹脂の構造を制御する方法と,フィラーを添加してコンポジットの構造を制御する方法に大別してまとめた。種々の原料や改質剤を用いてフェノール樹脂の構造を制御する方法としては,フェノール核間結合距離を汎用フェノール樹脂のメチレン結合よりも長くなるようにした例と,改質剤として弾性率の低い熱可塑性樹脂をフェノール樹脂に添加して,改質剤の分散構造を制御した例を紹介した。また,フィラーを添加してコンポジットの構造を制御する方法として,印刷回路基板の作製時に発生する端材や打ち抜き屑の粉砕物を用いた例,石炭灰から作製した人工ゼオライトを用いた例,および有機化モンモリロナイトを用いナノコンポジットを作製した例を紹介した。