2020 年 41 巻 5 号 p. 186-192
熱硬化性の構造用高分子材料の分子構造と基礎物性や力学的特性との関連性を調べるため,エポキシ系熱硬化性樹脂の分子構造を分子動力学シミュレーションにより計算し,トポロジーデータ解析を用いて分子構造と物性,あるいは,力学的特性に影響を及ぼす材料の不均一性を解析した。特に,硬化反応による分子運動性の制限に伴って生じるナノメートル領域での自由体積の分布構造に着目した。その結果,硬化反応が進むにつれ自由体積の平均分布が変化することを明らかにし,熱硬化性樹脂の分子レベルでの不均一性を捉えるデータ解析手法としての可能性が示唆された。