2021 年 42 巻 1 号 p. 23-29
エポキシ樹脂の耐熱性を向上させるための一つの方向に芳香族ジケトン構造の導入がある。イソフタル酸ジフェニル(DPIH)のFries 転移反応によりビスフェノール化合物(BHBB)を得た後,エポキシ化反応を行うことで芳香族ジケトン構造を持つエポキシ樹脂(BGBB)を合成した。これを用いてフェノールノボラックを硬化剤とした硬化物の物性を評価した結果,ガラス転移温度(Tg)は159 ℃とビスフェノールA 型エポキシ樹脂(DGBPA)に対して32 ℃,フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(GPAR)に対して13 ℃高い値を示した。また,700 ℃での残炭率が35.7 wt%とGPAR の25.9 wt%に対して大幅に上昇するとともに,10 wt%重量減少温度(Td10)は410 ℃であり,BGBB 硬化物の高い熱分解安定性が確認された。