2021 年 42 巻 1 号 p. 30-37
マレイミド基は,チオールとのクリック反応やフランとの可逆的なDiels-Alder 反応など反応性に富む官能基の一つである。そのため高分子骨格中に組み込むことでマレイミド骨格に由来する反応性や機能を汎用高分子に付与することができる。しかし,マレイミド基を簡便に高分子鎖に導入する手法は限られており,その多くは精密な高分子合成法に依存している。本総説では,汎用的な高分子鎖に簡便にマレイミド基を導入可能な分子骨格としてp- 位にマレイミド構造を持つフェニルイソシアネート(PMPI)に着目し,PMPI およびその類縁体の合成から,その反応性を用いた高分子修飾反応,さらには得られたマレイミド末端高分子を用いた応用展開について著者らの研究グループの成果を紹介する。