2021 年 42 巻 2 号 p. 42-50
新しいプロセスによる高耐熱性エポキシ樹脂の開発を目的として,フェニルエチニルカルボニル基を有する酸無水物を硬化剤として利用したエポキシ樹脂の硬化挙動および得られる硬化物の特性について検討した。その結果,酸無水物基とエポキシ基の反応が150 ~170 ℃付近で先に進行し,その後250 ~300 ℃前後でフェニルエチニルカルボニル基同士の反応が進行することが分かった。またエポキシ樹脂として,アントラセン変性エポキシ樹脂を用いた場合,フェニルエチニルカルボニル基同士の反応がより低温でかつ効率的に進行することが分かった。硬化物の特性を検討した結果,フェニルエチニルカルボニル基を有する酸無水物で硬化したエポキシ樹脂は非常に優れた耐熱性および耐熱分解性を示すことが分かった。これらの優れた熱的性質は,フェニルエチニルカルボニル基の重合により架橋密度が上昇すること,および生成するポリエン構造により分子間相互作用が強くなることで分子鎖の動きが抑制されるためと考えられる。