ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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クラフトリグニンへの天然由来フェノールの導入および エポキシ樹脂硬化剤としての活用
藤田 志保大山 俊幸
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2022 年 43 巻 2 号 p. 41-49

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抄録

天然由来のフェノールである4-ethylphenol(4-ep),pyrogallol(py)および catechin(ca)を酸性条件下においてクラフトリグニンと反応させることにより,フェノール化リグニン4-ep-L,py-L およびca-L を合成した。これらのフェノール化リグニンを硬化剤,1-cyanoethyl-2-ethyl-4-methylimidazole(2E4MZ-CN)を硬化促進剤として用いてビスフェノールA 型エポキシ樹脂(DGEBA)を硬化させることにより,硬化物(BA/4-ep-L,BA/py-L,BA/ca-L)を得た。多官能フェノールであるpy およびca を用いたBA/py-L 及びBA/ca-L のガラス転移温度(Tg)は未改質リグニンを硬化剤として用いた硬化物(BA/KrL)と比較して向上し,特にBA/ca-LではBA/KrL よりも46 ℃高い222 ℃であった。また,動的粘弾性測定の結果より,BA/py-L およびBA/ca-LにおけるTg の向上は硬化物の架橋密度の上昇に由来することが示唆され,リグニンへの天然由来多官能フェノール類の導入の効果が確認された。以上の結果より,天然由来多官能フェノールを導入したクラフトリグニンの利用により,高いバイオマス比率と高耐熱性を両立するエポキシ樹脂硬化物を作製できることが明らかとなった。

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© 2022 合成樹脂工業協会
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