2023 年 44 巻 1 号 p. 11-26
最近,通信規格5G への移行に伴ない,移動体通信機器に用いられている柔軟な回路基板,フレキシブルプリント配線基板(FPC)の抜本的な性能改良の要請が高まっている。FPC に用いられる耐熱性樹脂部材として,銅回路と絶縁基板との十分な密着性,耐熱性および寸法安定性を確保するために,従来の汎用接着剤の代わりに熱可塑性ポリイミド(TPI)が用いられている。本稿では,現行のTPI の問題点と付加型(熱架橋型)PI の適用の可能性について触れる。その他の重要なFPC 用樹脂部材として,耐熱絶縁フィルム(ベースフィルム)があり,非熱可塑性ポリイミド(PI)フィルムが用いられている。本稿ではまた,PI のフィルム製造工程および物性上の特徴を示しながら,現行のPI フィルムが5G 適用の妨げとなっている問題点を整理する。これを基に,次世代高速通信FPC 用ベースフィルム材に適した変性PI:ポリエステルイミドを提案し,その分子設計,製造上および物性上の利点(低熱膨張性,低誘電正接等)について述べる。