2023 年 44 巻 5 号 p. 204-211
ポリグリセリン構造とアクリロイル基を有する多官能アクリレートとして,ポリグリセリン系アクリレートを開発した。ポリグリセリンは,分子内に多数のエーテル結合を含む多価アルコールであることから,高分子量であっても液状を保ち,親水性にも優れるといった特長を有し,汎用の多官能アクリレートの母骨格に用いられてきた多価アルコールと性状が異なる。そのため,ポリグリセリン系アクリレートは,既知の多官能アクリレートとは特性が異なるネットワークを形成すると考えられ,特に,柔軟性や親水性に特長を見出せる可能性がある。今回,各種物性を評価した結果,ポリグリセリン系アクリレートは既知の多官能アクリレートより速硬化性に優れ,柔軟性が高い硬化塗膜が得られることを明らかにした。また,ポリグリセリン系アクリレートの硬化塗膜は親水性を示し,吸湿型の防曇コーティングとしても機能することを見出した。