ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
総合論文
循環型熱硬化性樹脂によるサーキュラーエコノミー戦略
内藤 昌信
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2023 年 44 巻 5 号 p. 243-253

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抄録

熱硬化性樹脂は,優れた熱物性や機械特性,薬品耐性などから広く用いられている高分子材料であるが,リサイクルが難しく循環型社会への対応が喫緊の課題となっている。本稿では,サーキュラーエコノミーを指向した熱硬化樹脂として,動的共有結合であるジスルフィド基を導入したエポキシ樹脂について紹介する。具体的には,エポキシ樹脂にジスルフィド結合を導入することで,室温・水中といった穏和な条件下でもエポキシ樹脂のリサイクルが可能となった。ジスルフィド基の分解には,システインを含む水溶性ペプチドであるグルタチオンを用いた。グルタチオンに含まれるチオール基がエポキシ樹脂中のジスルフィド基と結合交換反応を起こすことで,エポキシ樹脂のネットワーク構造の切断と再硬化を繰り返し行うことができる。本稿では,動的共有結合を導入したエポキシ樹脂の熱応力緩和接着としての応用や,メカノクロミズムを用いた接着強度の定量予測についても紹介する。

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© 2023 合成樹脂工業協会
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