ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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アミノ基含有アントラセン二量体を脱架橋可能な硬化剤として用いるエポキシ硬化物の合成と易解体性接着材料への応用
香庄 揮一田野 絹香佐藤 絵理子大津 理人有田 和郎
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2025 年 46 巻 2 号 p. 67-77

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抄録

加熱により架橋と脱架橋が可能なエポキシ硬化物の合成および易解体性接着材料への応用を目的とし,アミノ基含有アントラセン二量体とエポキシ化合物の重合および接着強度の評価を行った。加熱下で共有結合が解離する第一級ジアミンとして,9-アミノアントラセン二量体(A(N H 2)-D )と2(- 9-アントリル)エチルアミン二量体(A(C 2N H 2)-D )を用いた。A(C 2N H 2)-D は,A(N H 2)-D と比べてアミノ基周辺の立体障害が小さく,エポキシ化合物に対して高い反応性を示した。また,以前報告した9-アントラセンカルボン酸二量体(A(C O 2H )-D )と比較すると,A(C 2N H 2)-D とエポキシ化合物の重合はより低温で進行し,重合中のアントラセン二量体部位の熱解離を抑制できるため,高ゲル分率で硬化物が得られた。重合温度より高温で加熱すると脱架橋が進行した。さらに,A(C 2N H 2)-D はA(C O 2H )-D よりエポキシ化合物との相溶性に優れ,A(C 2N H 2)-D を用いたエポキシ硬化物は,A(C O 2H )-D より高い引張せん断接着強さと解体性を示す易解体性接着材料として機能した。

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