ネットワークポリマー論文集
Online ISSN : 2434-2149
Print ISSN : 2433-3786
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アリルオキシ基含有新規マレイミド樹脂の合成とその硬化物の物性評価
下野 智弘有田 和郎山口 純司大津 理人鈴木 悦子岡本 竜也秋元 源祐
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2025 年 46 巻 3 号 p. 157-170

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抄録

アミノフェノール類を出発原料とし,多段階の合成工程を経て,一つの芳香環上にアリルオキシ基とマレイミ ド基を有する構造を単位構造とするマレイミド樹脂を合成した。当該マレイミド樹脂は,部分構造として分子内に結晶性の高いN-アリール型のマレイミド構造を有するものの,アリルオキシ基の導入によって低融点またはアモルファス性を示し,溶剤への良溶解性や低溶融粘度で良ハンドリング性が実現された。またその硬化物のガラス転移温度は350℃を超え,かつ,熱重量分析でも高い耐熱分解性を示したことから,物理的耐熱性と化学的耐熱性を高いレベルで兼備することが確認された。硬化反応に際しては,アリルオキシ基のClaisen 転位を伴い,これがマレイミド基とも反応することによって,硬化物の機械強度向上に資するネットワーク構造が形成されていることが示唆された。

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© 合成樹脂工業協会
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