抄録
本研究の目的は,理学療法士養成課程の学生を対象にPBLと従来の講義型という異なる教育手法を実施し,どちらがより効果的かを検証することである。対象は3年制養成課程の2年生20名とし,PBL群と講義群に割り当てた。(PBL群9名,講義群11名)なお,対象となった学生は全員PBL未経験者であった。学習効果を示す指標として,学力試験(穴埋め式問題および記述問題)および学生へのアンケート調査を行った。学力試験の結果は両群間に有意差は認められず,PBLは従来の講義型の教育手法に劣らないことが示唆されたが,記述問題においてPBL群は総じて講義群よりも点数が高い傾向が見られた。なお,PBL群では学生間の点数のばらつきが少なく合格点(60点)に達しない学生はゼロだった。アンケートでは,自己学習時間,図書館の利用頻度,インターネットによる文献検索の有無といった項目でPBL群が有意に高く,PBLが学生の自己主導型学習態度の育成に効果的な教育手法であることが示唆された。