2025 年 46 巻 5 号 p. 228-235
本研究では,半導体封止材として使用されるフェノール硬化型エポキシ樹脂の架橋ネットワーク構造の形成メカニズム解明のために,反応開始温度が及ぼす影響を,2 種類の有機ホスフィン化合物を潜伏性触媒として用いて解析した。触媒には異なる温度で反応する,トリフェニルホスフィン(TPP)およびテトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート(TPPTTB)を用いた。硬化過程におけるゲル分率およびガラス転移温度(Tg)の変化を評価した結果,TPPTTB を用いて高温で反応させたエポキシ樹脂EP-TPPTTB は,TPP を用いて低温で反応させたEP-TPP と比較して,ゲル化点における反応率が高いことが明らかとなった。また,ゲル化点から完全硬化に至る過程において,EP-TPPTTB のTg はEP-TPP よりも低くなることが明らかとなった。これは,触媒の立体障害に起因する反応性の違いを反映しており,触媒によって分子鎖の成長メカニズムおよび架橋メカニズムが異なることが示唆された。