2026 年 47 巻 4 号 p. 218-226
本研究では,アミノ基を有するポリアリルアミン(PAA)と二硫化炭素(CS2)との反応により得られるチオウレア架橋型PAA ハイドロゲルを用い,各種pH 指示薬および万能指示薬の固定化挙動を検討した。得られたPAA ハイドロゲルはアミノ基を有しており,水中でカチオン性を示すことから,酸性基をもつ色素をアニオン化した状態でイオン結合により固定化できる特性を示した。4 種のpH 指示薬を用いて固定化挙動を検討したところ,いずれの指示薬もゲルに固定化され,水中において指示薬固有の可逆的な色変化を示した。また,色素の酸性度や電荷特性に依存した固定量の違いが明らかとなり,PAA ハイドロゲルがアニオン性色素を選択的に固定化し得る材料であることが確認された。さらに,複数色素を含む万能指示薬についても固定化が可能であり,得られたゲルはpH3 〜9 の広い範囲で連続的な色変化を示した。MALDI-TOF. MS の解析により,万能指示薬に含まれる全ての色素成分がゲル中に固定されていることが確認された。加えて,万能指示薬固定化ゲルは酸性条件下で体積膨潤を示し,光学応答と機械応答が同時に発現する材料であることが明らかとなった。以上より,PAA ハイドロゲルはアニオン性分子の効率的な固定化と水中での安定な応答が可能な機能性材料であり,簡便で再利用可能なpH センサーや刺激応答デバイスとしての応用が期待される。