抄録
太陽光発電・表示分野において透明プラスチックの高耐熱化,低線膨張化が求められており,我々はこれらの特性を実現するために,ナノ粒子高充填系透明フィルム材料の開発を行っている。33vol%の直径110nm のシリカ粒子を透明フィルムネットワーク中に固定化することにより,シリカ粒子が凝集せずに個々に分散した状態で存在し,かつ90%以上の全光線透過率が維持できることが分かった。さらに,高輝度放射光施設を利用した小角X 線散乱測定から求められたシリカ粒子の面間隔と走査型電子顕微鏡による実空間の画像から計算された粒子間距離がほぼ一致した。これらの事実は放射光がネットワークポリマー中でのナノ粒子の分散状態を観測する手段として有効であることを示す。