抄録
電気絶縁材料は,開閉装置(スイッチギヤ)など電力機器全体の性能を決める重要な要素の一つである。エポキシ樹脂などの絶縁材料は,材料単体ではなく,フィラー(無機粒子)などを充填して使用されることが多いが,このような複合化による材料の高性能化において,ナノサイズの粒子と樹脂材料を複合化したポリマー系ナノコンポジットが注目されている。本稿では,温室効果ガスの一種である六フッ化硫黄(SF6)ガスを用いない環境調和型の電力機器への適用を目指したエポキシ樹脂ナノコンポジット絶縁材料の開発を紹介する。ナノ粒子分散による電気絶縁材料の高性能化は,近い将来,電力機器の環境調和・小型化・高効率化を実現するコア技術になると期待している。