抄録
一般的に結晶性が高く汎用溶剤への溶解に乏しいイミド樹脂に,イソシアヌレート環を分岐点とした多分岐構造を導入し,各種溶剤への相溶性に優れたイミド樹脂を開発した。このイミド樹脂は末端にカルボキシル基を有しているためエポキシ樹脂との熱硬化が可能であり,硬化後は高い耐熱性と優れた機械物性を発現した。この高耐熱性発現のメカニズムがイミド樹脂の分岐構造に由来していることを確認した。また,樹脂中の骨格を変化させることでこの多分岐型イミド樹脂に様々な機能性を付与し,無色透明性に優れるイミド樹脂やガラス転移点(Tg)が300℃を超える高耐熱タイプのイミド樹脂を開発した。これらの樹脂特性及び硬化塗膜物性と樹脂構造との相関性を考察したのでここに報告する。