アントラセンを側鎖または末端に持つプレポリマーの光可逆反応性

抄録

側鎖または末端にアントラセンを有するプレポリマーについて，アントラセンの二量化／解離という動的結合特性を検討した。プレポリマーには，高ガラス転移温度を持つポリスチレンと低融点結晶を持つポリエチレンアジペートを選択し，動的結合に対する分子運動性の影響も評価した。いずれのプレポリマーにおいても，室温において定量的なアントラセンの二量化を確認できたが，解離反応に対しては，ガラス状態や結晶の存在が進行を阻害した。すなわち，解離反応では，二量化反応以上に，ガラス転移点や融点などを考慮した条件決定が重要である。これは，高分子鎖の運動性を保つことにより解離反応直後にアントラセンが互いに物理的に離れる必要があることを示している。