ネットワークポリマー
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エポキシ化リグノフェノールによる常温硬化エポキシ樹脂の高性能化
門多 丈治長谷川 喜一舩岡 正光
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2010 年 31 巻 4 号 p. 152-159

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抄録
木材に約30%含まれるリグニンを由来とする木材抽出物リグノフェノールの工業的利用法の開発を試みた。リグノフェノールは多くのフェノール骨格を含むため,フェノール樹脂とよく似た性質を示す。以前,著者らはリグノフェノールを原料とするエポキシ樹脂を合成し,高性能ネットワークポリマー材料への適用を試みた。その結果,エポキシ化リグノフェノールを汎用エポキシ樹脂の強化剤に用いることで,イミダゾールを触媒とする加熱硬化条件において,高接着性,高耐熱性の硬化物となることを確認した。しかし,実際に工業材料としての使用を考えた際には,加熱作業できない場合も多いため,常温で使用可能な材料の開発が望まれている。そこで本研究では,エポキシ化リグノフェノールを常温硬化系エポキシ樹脂の強化剤に用いることによって,常温硬化条件でもより高性能化が可能となるような材料の開発を試みた。その結果,期待通りに,常温硬化条件でも高接着性,高耐熱性エポキシ樹脂となることを見出した。
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© 2010 合成樹脂工業協会
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