ネットワークポリマー
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固相せん断連続混練によるフェノール樹脂/ 有機化モンモリロナイト ナノコンポジットの構造と物性
松本  明博大塚  恵子木村  肇山岡  岸泰皆瀬  慎大矢  充
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2010 年 31 巻 4 号 p. 160-167

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抄録
摩砕剪断粉砕技術を応用した固相せん断連続混練押出機を用いて高分子量ノボラックと有機化モンモリロナイト(MMT)を混練し,この混練物を用いてフェノール樹脂/MMT ナノコンポジットを作製した。最初に,MMT の層間に高分子量ノボラックを効果的に挿入させるための条件検討を行った。その結果,ノボラックの溶融粘度が105Pa・s 以上になるように100℃に設定した押出機内で2 ~3 回繰り返し混練することにより,MMT の層間にノボラックが挿入して微分散した混練物が得られることが示唆された。次に,これらの混練物に硬化剤を加えて成形してコンポジットを作製し,その構造をXRD 測定およびTEM 観察により検討した。その結果,コンポジット中のMMT の平均層間距離はMMT 単独の1.84nm から約4.3 ~4.4nm まで広がり,フェノール樹脂中にナノ分散したことが分かった。しかし,押出機内での混練を4 回繰り返すことによりMMT の面方向の切断がおこり,MMT のアスペクト比が低下した。コンポジットの物性は,押出機内での繰り返し混練回数が 2 ~3 回のとき極大値を示し,フェノール樹脂単独の硬化物と比較して,耐熱性を維持しつつ引張強度が約35%向上した。
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© 2010 合成樹脂工業協会
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