ネットワークポリマー
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総説
植物のマクロな多孔質構造を利用した炭素粉体の 開発とその応用
飯塚 博
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 31 巻 5 号 p. 233-239

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抄録

植物の非食部(農業残さ)の有効活用を目指し,多孔質炭素材料の開発を行っている。植物が持つ天然の多孔質構造を骨格として,その構造中にフェノール樹脂を含浸して高温焼成すると,ガラス状炭素で補強された高強度な多孔質炭素粉体を製造することができる。この粉体は機能性フィラーとしてゴムやプラスチックに配合して,あるいは加圧成形や射出成形後に更に焼成して多孔質炭素板として使用することができる。この多孔質炭素材料には,炭素が持つ軽量・潤滑性・導電性等の特性が保持されており,良好な潤滑性を利用した摺動部材や,導電性を利用した静電気除去材料や電磁波遮蔽・吸収材料への利用が期待されている。本稿では,もみ殻と大豆皮から製造した多孔質炭素材料について,その製造方法,力学特性,および電気的特性について紹介する。

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© 2010 合成樹脂工業協会
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