ネットワークポリマー
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31 巻, 5 号
天然物由来材料とフェノール樹脂
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
総説
  • 高野 俊幸
    2010 年 31 巻 5 号 p. 213-223
    発行日: 2010/09/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    リグニンは,最も豊富に存在する天然の芳香族ポリマーであり,再生可能な資源として注目されている。しかしながら,リグニンは,紙パルプ製造プロセス,あるいはバイオエタノール製造プロセスの副生成物として得られているのみで,その利用は進んでいないのが現状である。本稿では,天然リグニン,および単離リグニンの化学構造,単離リグニンの利用例を紹介し,今後のリグニンの利用に向けての課題について述べる。
  • 宮腰 哲雄, 陸 榕, 石村 敬久, 本多 貴之
    2010 年 31 巻 5 号 p. 224-232
    発行日: 2010/09/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    漆は古くから用いられてきた天然塗料で,その塗膜は艶があり優雅で美しいことから器物の装飾や華飾に用いられてきた。ウルシノキは日本や中国に生育しており,それから得られる樹液が漆液である。漆液の乾燥硬化は特殊で,高湿度下でラッカーゼ酵素の酸化作用で進行する。そのため漆液を塗装した器物を乾燥するには特別の設備が必要で,湿度や温度の管理が重要になる。そのことから漆液が自然乾燥する促進法についていろいろ研究されているがまだ本質的な改質に至っていない。本稿では,当研究室で行った漆の改質法としてくろめ返し漆やハイブリッド漆の開発について述べる。また金コロイドを用いたワインレッド様漆塗料の開発,ナノ漆の開発と,それを用いたインクジェットプリンターよる蒔絵製作法の開発など工業塗装への応用研究について概説する。
  • 飯塚 博
    2010 年 31 巻 5 号 p. 233-239
    発行日: 2010/09/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    植物の非食部(農業残さ)の有効活用を目指し,多孔質炭素材料の開発を行っている。植物が持つ天然の多孔質構造を骨格として,その構造中にフェノール樹脂を含浸して高温焼成すると,ガラス状炭素で補強された高強度な多孔質炭素粉体を製造することができる。この粉体は機能性フィラーとしてゴムやプラスチックに配合して,あるいは加圧成形や射出成形後に更に焼成して多孔質炭素板として使用することができる。この多孔質炭素材料には,炭素が持つ軽量・潤滑性・導電性等の特性が保持されており,良好な潤滑性を利用した摺動部材や,導電性を利用した静電気除去材料や電磁波遮蔽・吸収材料への利用が期待されている。本稿では,もみ殻と大豆皮から製造した多孔質炭素材料について,その製造方法,力学特性,および電気的特性について紹介する。
  • 塔村 真一郎
    2010 年 31 巻 5 号 p. 240-247
    発行日: 2010/09/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    フェノール樹脂の主な用途の一つに木質材料製造用のアルカリ水溶性フェノール樹脂(レゾール)接着剤がある。フェノール樹脂接着剤の市場は長い間日本では極めて小さかったが,最近の針葉樹構造用合板の需要増などによるニーズの変化に伴い,フェノール樹脂の持つ高い接着耐久性と低いホルムアルデヒド放散性の特徴が見直されてきた。多くの基礎研究によって初期付加反応と高分子化縮合反応機構が次第に明らかになってきた。再生可能な天然資源との複合化による新規フェノール樹脂接着剤も将来的に重要な課題である。
  • 博多 宏一
    2010 年 31 巻 5 号 p. 248-255
    発行日: 2010/09/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    ロジン変性フェノール樹脂はロジン,アルキルフェノール,ホルムアルデヒド,ポリオールから構成される樹脂であり,フェノール樹脂を天然物のロジンで変性したものである。これにより非極性溶媒に対する溶解性を付与して顔料に対する濡れ適性やゲル化剤との反応性によりインキに印刷適性を持たせることができる。このためオフセットインキ用途に広く独占的に使われている樹脂である。ここ数年はインキメーカーや印刷会社において高速印刷や環境対応に重点が置かれている。ここではロジン変性フェノール樹脂の概要とその特性について紹介する。
  • 金子 達雄, 王 思乾, 藤原 佳, 金子 大作
    2010 年 31 巻 5 号 p. 256-262
    発行日: 2010/09/10
    公開日: 2014/03/31
    ジャーナル オープンアクセス
    植物細胞壁中に多く含まれ,かつ芳香族系アミノ酸の酵素反応により容易に生産できるフェノール酸を重合することにより,生分解性の液晶性芳香族バイオポリエステルを合成した。特にAB2 型の多官能性モノマーを用いることで高分岐型ポリエステルが合成され,それを加熱延伸することにより配向フィルムを得た。そのフィルムの性能は極めて高く,熱力学的性能は一般的な工業用プラスチックに匹敵した。また,当該成形体の熱処理により耐熱温度が最大300 度を超えることも分かった。本プラスチックの高耐熱性を利用し,自動車エンジン周りにおける軽量プラスチックなどへの応用が期待される。が広く研究されてきた。しかし,芳香環を高濃度に持つ剛直な分子骨格のものは少ない。その中で,リグニンやフェノールをキーワードとする研究が進められている。著者らは,ヒドロキシル基とカルボン酸を両方持つ「フェノール酸」に焦点をあて,それを重合する
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