ネットワークポリマー
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In situ 重合架橋型N- フェニルマレイミドスチレン 交互共重合体によるシアナート樹脂の強靭化
北村 あい杉  裕紀大山  俊幸高橋  昭雄
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2010 年 31 巻 6 号 p. 299-307

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抄録
シアナート樹脂中において,改質剤N- フェニルマレイミド-スチレン交互共重合体(PMS コポリマー)に架橋剤としてジビニルベンゼン(DVB)を添加した架橋型PMS(PMSD)をin situ 重合することで,シアナート樹脂の靭性の向上を試みた。その結果,架橋剤DVB 5mol% を添加した改質剤PMSD を10wt% 用いたとき,未改質系と比較してKIC の値が77% 向上した。また,このとき曲げ特性は向上し,ガラス転移温度も高くなる傾向を示した。改質硬化物破断面の原子間力顕微鏡(AFM)観察により,改質剤PMSD がシアナート樹脂マトリックス中に200 ~300nm のオーダーで分散している様子が確認された。PMS に架橋剤としてDVB を添加することで,改質剤がより細かくシアナート樹脂マトリックス中に分散し,シアナート樹脂の強靭化が達成されることが確認された。 また加熱硬化過程における反応について調べた結果,DSC およびIR 測定により改質剤のラジカル重合が進行したものと推定された。さらに,IR 測定結果から改質剤のラジカル重合反応とマトリックス樹脂の硬化反応が,相互に阻害することなく進むことが確認された。
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© 2010 合成樹脂工業協会
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