抄録
木質バイオマスとアルコールを原料とするアルコール液化木材エポキシ樹脂について,硬化樹脂のガラス転移温度(Tg)および引張物性とバイオマス含有率の関係を調べた。木材液化の前処理としての遊星ボールミル処理は木材中のセルロースの非晶化に有効であり,結果としてアルコール液化木材中のバイオマス含有率を63%まで向上せしめた。次いで,種々のバイオマス含有率の液化木材を原料としてエポキシ樹脂を合成したところ,バイオマス含有率の増加に伴い,木材エポキシ樹脂硬化物のTg,引張強度および引張弾性率が向上することがわかった。樹脂の架橋構造中に木材由来の剛直な化学構造が多く導入されたためと考えられる。由来エポキシ樹脂よりも高い耐熱性や引張物性を持ち,既存のビスA 型エポキシ樹脂と同等の接着強度を持つことを示した。また,アルコール液化木材エポキシ樹脂はポリエチレングリコール型エポキシ樹脂に木粉をフィラーとして物理的に混ぜ込んだものよりも高い耐熱性を示した。