抄録
液化溶媒種の異なるアルコール液化木材エポキシ樹脂について,耐熱性および力学物性の関係を調べた。木材液化溶媒として脂肪族アルコールであるポリエチレングリコール(PEG)と芳香族アルコールであるビスフェノールA エチレンオキシド付加物(BPAEO)を比較した。BPAEO は木材液化溶媒として有効であり,PEG と同等以上に木材を液化することが可能であった。BPAEO 液化木材エポキシ樹脂はPEG 液化木材エポキシ樹脂と比べ,高い耐熱性および引張物性を有する。エポキシ樹脂の化学構造中に液化溶媒由来の芳香環構造が導入されたためと考えられる。また,BPAEO 液化木材エポキシ樹脂のバイオマス含有率向上に伴い,Tg および曲げ物性が向上することが分かった。