ネットワークポリマー
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ビニル基を導入したフェノール誘導体の合成とポリマー化
加藤 千博高山 雄貴生越 友樹山岸 忠明
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2012 年 33 巻 2 号 p. 56-63

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抄録
高性能高分子材料の特性の一つである耐熱性は,芳香環間のπ-πスタッキング相互作用や水素結合により向上する。これらの分子間相互作用を向上させることを目的として,分子内に三つの芳香環を有するフェノール誘導体2,5&benz を使用し,2,5&benz を分子内に含むモノマーをポリマー化させることで,規則的な分子構造を有するポリマーの合成を試みた。2,5&benz は芳香環と結晶性を有していることから,これをポリマー化させることで,分子間相互作用を高め熱的安定性を向上できると考えた。今回,2,5&benz を基にアクリロイル基を有するACv-1 とアリルエーテル基を有するALBv-1 の合成を行い,これらを用いて熱および光ラジカル重合を行い,得られたポリマーの熱的安定性について検討を行った。ACv-1 から得られたポリマーは,メチル基を有するポリマー(ポリメチルアクリレート)に比べ高い熱的安定性を示した。このように,芳香環を三つ持つフェノール誘導体の分子骨格を利用することで,耐熱性を有する高分子材料の合成に応用できると考えられる。
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© 2012 合成樹脂工業協会
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