ネットワークポリマー
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水に安定なイソチオシアナート構造をもつ共重合体の合成と水中での求核剤との反応及びジアミンによるネットワーク化
瀬戸  良太松本  幸三遠藤  剛
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2015 年 36 巻 1 号 p. 13-20

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抄録
 イソチオシアナート基を持つ水分散性コポリマーとして,poly(ITEMA-co-AAm)を2- イソチオシアナートエチルメタクリラート(ITEMA)とアクリルアミド(AAm)のラジカル共重合により合成した。さまざまな組成のコポリマーの水溶性を調べた結果,組成比がITEMA/AAm =7/93 のpoly(ITEMA-co-AAm)は水に対して分散する性質を示した。コポリマーのイソチオシアナート基は,室温条件下,水中で一週間は安定であった。水中でコポリマーを架橋させるために,水分散液にヘキサメチレンジアミンを加えネットワークポリマーを得た。その結果,架橋したコポリマーが水分散性を保持した状態で得られた。さらにまた,コポリマーの水分散液を100 ℃で30 分間加熱することによっていずれの溶媒にも不溶なヒドロゲルが得られた。100 ℃の高温条件下では,イソチオシアナート基は水と反応してアミンを生成し,続いて生成したアミンがイソチオシアナート基と反応することによってネットワーク化したヒドロゲルが生成した。以上の結果から,poly(ITEMA-co-AAm)は水性の架橋高分子前駆体として有用であることが明らかとなった。
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© 2015 合成樹脂工業協会
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