抄録
プラスチック材料は物理的にも化学的にも非常に安定した材料であるため, 材料の表面にカビや細菌が繁殖して変形・腐食が起こることは全くないと言うのが一般の常識かも知れない。しかしながら, 約40年にわたり極めて広範囲におよぶ各種材料の微生物災害研究を実施した結果, 40年間に研究を実施した約400件の項目のうち, その95%がプラスチック製品および材料に, カビや細菌が繁殖し, 微生物の生きた作用によって変形・腐食が発生することが確認された。従って, プラスチックの微生物による変形と腐食は極めて重要な研究課題ということができる。
プラスチックが使用中に微生物の作用を受けるか否かを客観的に評価する方法を確立するとともに, 微生物に対する抵抗性を向上させるための研究の具体的な内容について述べる。