日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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消化器外科術後メチシリン・セフェム耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)腸炎症例の検討
重症例と軽症例の比較
西村 好晴竹中 博昭岩瀬 和裕矢倉 明彦吉留 克英大西 隆仁高垣 元秀石坂 透別所 俊哉大畑 俊裕井上 匡美大嶋 仙哉田中 智之片井 敦雄
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1992 年 53 巻 11 号 p. 2569-2573

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抄録
術後MRSA腸炎の重症化に影響を及ぼす因子と補助診断法につき検索した.対象症例12例を重症群6例,軽症群6例に分けた.重症群とは腎機能障害を併発した症例, 39℃以上の発熱を認めた症例,あるいは維持輸液以外に1日2,000ml以上の輸液負荷を要した症例とした.術前,術中の諸因子に有意な(p<0.05)差はなかった.腸炎発症までの術後日数は重症群が3.7±1.1日と軽症群の7.1±2.7日に比し有意に短かった.腸炎発症時の白血球数は両群間で有意差はなかったが,核左方移動係数は重症群が72±26%であり,軽症群の6±4%に比し有意に高値であった. Toxic Shock Syndrome Toxin-1 (TSST-1)の最高希釈倍数は重症群が27.4±0.4倍であり,軽症群の26.6±0.5倍に比し有意に高値を示した.腸炎発症までの期間が4日以内であること,腸炎発症時の核左方移動係数が高値であること, TSST-1の最高希釈倍数が高値であることは重症化を示唆すると考えられた.
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