土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
土壌ガス拡散係数予測モデルの提案と国内土壌への適用
川本 健小松 登志子Moldrup Per吉川 省子藤川 智紀
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2005 年 101 巻 p. 37-50

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抄録

土壌通気の主たるメカニズムはガス拡散であり,土壌におけるガス拡散係数の把握や予測は,耕地土壌の通気不良の解明や土壌汚染で問題となる揮発性有機化合物の運命予測に重要となる。本研究では,国内土壌の実測データに基づき,土壌間隙分布特性,無効間隙率,基準気相率の違いを考慮して,3タイプの土壌ガス拡散係数予測モデルを提案した。そして,これらのモデルと既存のMillington & Quirk(MQ)モデル,Buckingham-Burdine-Campbell (BBC)モデル,Macroporosity-dependent (MPD)モデルを用いて,予測値と実測値との適合性を検証し,予測モデルの評価を行った。今回提案した予測モデルと,BBCモデル,MPDモデルは実測値との間に十分な適合性を有した。この中でもBBCモデルが最も良い適合性を示した。また,MQモデルは実測値を大きく過小評価した。予測モデルと実測値との適合性に無効間隙率の影響は見られず,基準気相率としてε100 (pF2.0における気相率)を用いたモデルが良い適合性を示す傾向が見られた。

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© 2005 土壌物理学会
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