抄録
ゲル化を伴うエチレンジメタクリレート (EDMA) の単独重合およびメチルメタクリレート (MMA) -EDMA共重合について, それらのゲル化点以前でのミクロゲル化を重合液の直接光散乱測定から追跡した結果, ビニル系ミクロゲルポリマーを分子設計する上での重要な指針を得た。先ず, ミクロゲル形成との関連で重要な分子内架橋反応の生起しやすい条件下で慣性半径および第二ビリアル係数の大きな低下が認められたことから, 重合液の直接光散乱測定がミクロゲル化を追跡する上で有力な手段となることを明らかにした。次いで, EDMAの単独重合におけるミクロゲル化を連鎖移動剤添加量を種々変えて追求し, ミクロゲル形成と一次ポリマー鎖長の相関は重要であり, 鎖長が短い際にはミクロゲル化しないことを示した。さらに, MMA-EDMA共重合系のミクロゲル化においてはペンダントビニル基含量の影響が顕著であり, EDMA添加量の低い系ではミクロゲル化しないことを明らかにした。最後に, MMA-EDMA (90 : 10) 共重合系のミクロゲル化に及ぼす長鎖アルキル基の立体効果を検討し, 分子内架橋反応の抑制を示唆する結果を得た。