抄録
6種類のポリ (シリレンエチニレンフェニレンエチニレン) 類 [-si (R) H-C≡C-C6H4-C≡C-] (Rはフェニル基, メチル基あるいは水素, フェニレン基はメタ位, パラ位あるいはオルト位) を合成し, 物性を調べた。これらの高分子は熱安定性に優れ, 特にポリ (フェニルシリレンエチニレン-1, 3-フェニレンエチニレン) [-Si (Ph) H-C≡C-C6H4-C≡C-] (以下MSPと略記) は溶媒に易溶で, 溶融成形可能 (100~150℃) な耐熱・耐燃焼性 (Td5860℃, 酸素指数40~42) の付加型の熱硬化性樹脂 (硬化温度150~210℃) であった。分子内のSi-H結合とC≡C結合が関与した付加架橋反応によって高耐熱性の硬化構造が形成されると推定した。分子構造と熱物性との相関性について議論した。MSPをマトリックスに, ガラス, 炭素, 炭化ケイ素繊維を強化材にして得られたFRPは, 測定温度400℃ (空気中) においても強度低下を示さなかった。MSPを不活性ガス中1000℃以上で処理することによりガラス状で硬く, 黒鉛化度の低い構造の物質 (C-SiC) が得られた。