抄録
エポキシ樹脂は高性能接着剤として広い工業分野で使用されている。しかし, エポキシ樹脂は一般に硬くて脆い性質を持つため, 接着剤としての応用分野が制限され, その強靱化について多くの研究が行われてきた。この総説では, エラストマーとの複合化やメソゲン基の導入によって強靱化された最近の新しいエポキシ樹脂系接着剤について紹介する。最近の接着剤では, 単に接着強度を改善しているだけでなく, 強靱化と同時に何らかの新しい機能を発現できるように構造設計が行われていることが特徴といえる。例えば, エラストマーがエポキシ樹脂ですばやく膨潤するように設計することによって製造工程での仮止めを可能としたり, 被着体の表面自由エネルギーに応じて界面組成が変化できるように設計することによって異種材料の接着を最適化したり, 接着剤層にゴム弾性を持たせることによって被着体とのメカニカルミスマッチを吸収するなどの機能が実現されている。