抄録
研磨粉を添加したエポキシ樹脂または不飽和ポリエステル樹脂のパネル注型において, 長尺試料の導電性を向上するために有効な磁場印加方法を考案した。その第一はマグネットを注型パネルの表面に沿ってスライドさせる方法であり, 第二はマグネットをパネルの表面に線状に極性を交互にして排列する方法である。次に研磨粉に付着している切削油剤 (軽油) の影響を調べた。その結果, 不飽和ポリエステル樹脂は軽油の混入により硬化不良物を与えるため研磨粉の溶剤洗浄による軽油の除去が必要であることがわかった。エポキシ樹脂では樹脂中に取り込まれた軽油はむしろ硬化物の導電性を向上する効果があるため溶剤洗浄は不要でありコストを大きく低減できる可能性があることがわかった。軽油のこのような効果は, 軽油によるプレポリマーの粘度低下, 硬化収縮率の増大, 及び研磨粉表面の酸化保護膜の形成によるものと推定された。低粘度の炭化水素類を添加しても硬化物の導電性が向上することがわかった。