抄録
リグノフェノールは, リグノセルロース資源中の天然ネットワークポリマー, リグニンから相分離系変換システムによって直接合成された高度循環型分子設計を有する誘導体ポリマーである。ヒノキ (Chamaecyparisobtusa) から誘導したリグノフェノール (p-cresolタイプ, HKLCI) をアセトンに溶解し, ジェチルエーテル (EtOEt) に滴下して行う精製プロセスにおいて, アセトン可溶区分 (HKLC1-A), EtOEt可溶区分 (HKLC2-E), EtOEt不溶区分 (HKLC2) に分画されたリグノフェノールをナノ多孔質酸化チタン電極の光増感剤として用いた光化学電池を調製し, 性能の評価を行った。さらにHKLC2からアルカリ条件下, 120℃または140℃で合成した二次機能変換体-I (HKLC393, HKLC413) も同様に光増感剤として用いて逐次機能制御の影響を調べた。EtOEt溶液からナノ粒子酸化チタンを用いて回収された低分子のHKLC2-Eは光強度101.3mWcr-2の可視光照射下, 比較的高い光電変換効率 (η) =0.46%を示した。HKLC-2Eより平均分子量が大きい二次機能変換体HKLC393はη=0.53%を示し, 分子量の効果とアリールクマラン (arylcoumaran) 型構造の寄与が同程度であることを示した。このようにリグノフェノールはリサイクルフローの下流側において, 電子利用に有利な構造を有する化合物に誘導し活用可能であることが示された。