ネットワークポリマー
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FRP亜臨界水分解物の低収縮剤への高付加価値化リサイクル
吉村 毅中川 尚治卜部 豊之前川 哲也井東 達雄
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2007 年 28 巻 3 号 p. 93-100

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抄録
リサイクルが困難なFRP (繊維強化プラスチック) を亜臨界水を利用して分解し, 無機物を除去したろ液からのスチレンーフマル酸共重合体の分離を検討した。親水性が高いため, 分離が困難なスチレンーフマル酸共重合体をメチルイソブチルケトンや酢酸プロピルを添加することにより, 分離することに成功した。スチレンーフマル酸共重合体の再利用用途を検討し, その構造がFRP用の市販低収縮剤と似ていることに着目した。しかしFRP用の低収縮剤はスチレンとの相溶性が必要であるが, スチレンーフマル酸共重合体はほとんどの有機溶媒に不溶であった。唯一, カルボン酸塩の状態にすれば水に可溶となるので, 水溶性改質剤である1,3-ジクロロ-2-プロパノール, および, エピクロルヒドリンを利用したエステル化によりスチレンと相溶性のある改質を検討した。その結果, 反応は進行するがスチレンには依然として不溶であった。水溶液中に存在するスチレンーフマル酸塩共重合体と非水溶性改質剤であるベンジルクロライドを反応させるために相間移動触媒を利用した結果, エステル化は進行し, 得られた改質ポリマをスチレンに可溶化させることにも成功した。その改質ポリマと市販低収縮剤とを比較し, 改質ポリマが同様の低収縮効果を発現することを確認した。これはスチレンーフマル酸共重合体を構成している原料の価格と比べると, 5~10倍もの付加価値があり, 従来にない高付加価値化リサイクルになる。
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