2016 年 32 巻 3 号 p. 224-228
高次脳機能の診察は神経学的診察の一部であり,患者毎にポイントを抑えながら,系統的に行う.はじめに,問診で日常生活での問題を患者本人と介護者から聞き取り,どのような機能障害があり得るかを考える.高次脳機能は階層性があり,下から全般性注意や情動など基盤となる機能,記憶,言語など個々の認知機能,遂行機能などの統合的機能となっている.診察は,どの階層に障害があり,下位の機能障害が上位の機能にどのような影響を与えているかを考えながら進める.問診およびミニメンタルステートテストの項目に,失行,視空間認知などに関する項目を適宜くわえた診察で,概要をとらえることができる.評価は病前能力などの患者背景を考慮して行う.