2016 年 32 巻 3 号 p. 216-223
Liepmannが最初に提唱した失行評価モデルは,大脳後方から前方へ流れる直列経路であった.GeschwindやHeilmanは彼の直列経路モデルを修正したが,Royは行為概念系と行為産生系に分離したモデルを,HodgesやBuxbaumは背側経路(Howの経路)と腹側経路(Whatの経路)が並存するモデルを報告している.観念運動性失行(IMA)は動作の空間的,時間的処理の誤反応,観念性失行(IA)は動作の内容の誤反応から診断され,IMAはHowの経路,IAはWhatの経路に対応している.以上より失行評価モデルはIMA関連システムとIA関連システムの並列回路である可能性を指摘した.