神経心理学
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原著
音韻性錯語と喚語困難を前景とする失語症状を呈したDementia with Lewy bodies(DLB)の1例:
logopenic variant of primary progressive aphasia(LPA)の失語症状との比較検討
加藤 梓今村 徹
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2019 年 35 巻 3 号 p. 161-170

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抄録

症例は79歳,右利き男性.物忘れ,幻視,ことばの出にくさを主訴に初診した.Parkinson症状は認められなかった.注意障害と保続,近時記憶障害,構成障害を認めた.言語面では発話は流暢であった.発語失行,失文法はみられなかった.音韻性錯語と喚語困難が明らかであった.言語理解は語,統語レベルとも良好であった.文の復唱では言語性短期記憶の低下による障害を認めた.文の聴覚理解では文の長さに影響され,3文節文以上から困難であった.Dopamine transporter(DAT)SPECTで線条体での集積が軽度低下,脳血流SPECTで左側頭・頭頂葉に顕著な集積低下がみられた.本症例の臨床像はprobable dementia with Lewy bodies(DLB)に一致していたが,言語症状はlogopenic variant of primary progressive aphasia(LPA)の臨床像と一致していた.

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© 2019 日本神経心理学会
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