2019 年 35 巻 4 号 p. 238-248
意味障害型進行性失語(svPPA)は,典型的には若年発症で,病理学的にTDP-43タイプCを示すが,病初期や高齢発症例では,アルツハイマー病(AD)との鑑別が問題となることがある.本検討では,アミロイドイメージングでADは否定された初期のsvPPAの特徴を明らかにするとともに,臨床症状及び画像所見の経過について,若年発症例と高齢発症例とで比較した.両症例とも,1年の経過で脳萎縮や脳血流低下の進行を認めたが,若年発症例の方が,臨床症状と画像所見変化の進行が大きかった.高齢発症例は,若年発症例と比べて,緩徐な進行を示すことが示唆され,その原因として,病理学的背景の相違があるのか,今後明らかにしていくことが必要である.