認知症疾患の脳画像の見かたについて概説した.認知症を呈する変性疾患では大脳の葉性萎縮を認めることが多く,それぞれの脳葉を区分できれば,構造画像では萎縮範囲を,また機能画像では血流低下の範囲を,大まかに判定することができる.脳葉の区分には中心溝やシルビウス裂など特徴的な構造を指標とすることが有用である.治療可能な認知症の一つである正常圧水頭症では,不均衡な脳室およびクモ膜下腔の拡大,脳梁角の急峻化が特徴的な所見である.進行性に発語失行を呈することがある進行性核上性麻痺では中脳被蓋が萎縮し,特徴的な形状を呈する.それぞれの疾患に特徴的な画像所見を知ることで,画像診断の精度を高めることが可能である.