神経心理学
Online ISSN : 2189-9401
Print ISSN : 0911-1085
ISSN-L : 0911-1085
企画特集
言語症状をもたらす神経変性疾患:症状の特徴と対応
大槻 美佳
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 39 巻 4 号 p. 271-287

詳細
抄録

神経変性疾患による言語症状は,要素的言語症候(発語失行,文産生障害,音韻性錯語,喚語障害,単語の理解障害,復唱障害)で整理するとわかりやすい.発語失行では,音の歪み,連結障害,プロソディー異常のほか,不適切な息継ぎがみられる.非流暢/失文法型PPAは,原発性進行性発語失行と原発性進行性失文法に分けられ,前者の背景病理は4Rタウオパチーであると報告されている.進行性に前部弁蓋部症候群を呈する一群は,TDP-43が蓄積し,運動ニューロン疾患との近縁性が議論されている.語減少型PPAは,病巣の首座が頭頂葉か側頭葉かによって,音韻性錯語の有無や,喚語障害や復唱障害のパターンが異なる可能性がある.アルツハイマー型認知症(AD)による言語症状として,健忘失語,漢字の書字障害,超皮質性感覚失語等がある.前頭葉型ADも言語症状を呈する.対応として,様々な言語リハビリテーションや,経頭蓋直流電気刺激法や反復経頭蓋磁気刺激などが試みられている.

著者関連情報
© 2023 日本神経心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top