神経心理学
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
企画特集
  • 佐藤 睦子
    2023 年 39 巻 4 号 p. 244-245
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/01/27
    ジャーナル 認証あり
  • 福井 俊哉
    2023 年 39 巻 4 号 p. 246-260
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/01/27
    ジャーナル 認証あり

    各種の神経心理症状は脳血管障害,中枢神経感染症,薬物中毒,代謝性疾患,および神経変性疾患により生じる.本稿では神経心理症状を呈する神経変性疾患について,それらの概念とその変遷,疾患が発見されるきっかけとなった症例報告,遺伝と病理,画像所見,診断基準について述べる.取り上げた神経変性疾患はアルツハイマー病,レビー小体病,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,前頭側頭葉変性症である.加えてこれらの疾患に合併することが多い嗜銀顆粒性認知症,および最近提案された病理的概念であるPrimary Age Related tauopathy(PART)とLimbic Predominant Age-related TDP-43 Encephalopathy(LATE)も簡単に解説した.

  • 船山 道隆
    2023 年 39 巻 4 号 p. 261-270
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/01/27
    ジャーナル 認証あり

    神経変性疾患に特有な,あるいは脳卒中や外傷性脳損傷などの後天性脳損傷と比べて頻回に出現する目立った行動障害には,立ち去り行動,常同行動,異食症,鏡現象,徘徊,後追い行動などがある.これらの行動障害は,複数の認知機能の低下や,あるシステム全体の低下によって出現することが多い.さらには心理面の関与を含む場合もある.神経基盤についても広い脳部位の萎縮によって出現すると考えられる.常同行動や立ち去り行動は前頭葉機能と関連付けられやすいが,前頭葉症状のみならず,側頭葉や線条体など他の部位の機能低下も重なり出現すると考えられる.異食症は側頭葉との関連が,鏡現象,徘徊,後追い行動などは頭頂葉や側頭葉といった後部脳との関係が密接である.

  • 大槻 美佳
    2023 年 39 巻 4 号 p. 271-287
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/01/27
    ジャーナル 認証あり

    神経変性疾患による言語症状は,要素的言語症候(発語失行,文産生障害,音韻性錯語,喚語障害,単語の理解障害,復唱障害)で整理するとわかりやすい.発語失行では,音の歪み,連結障害,プロソディー異常のほか,不適切な息継ぎがみられる.非流暢/失文法型PPAは,原発性進行性発語失行と原発性進行性失文法に分けられ,前者の背景病理は4Rタウオパチーであると報告されている.進行性に前部弁蓋部症候群を呈する一群は,TDP-43が蓄積し,運動ニューロン疾患との近縁性が議論されている.語減少型PPAは,病巣の首座が頭頂葉か側頭葉かによって,音韻性錯語の有無や,喚語障害や復唱障害のパターンが異なる可能性がある.アルツハイマー型認知症(AD)による言語症状として,健忘失語,漢字の書字障害,超皮質性感覚失語等がある.前頭葉型ADも言語症状を呈する.対応として,様々な言語リハビリテーションや,経頭蓋直流電気刺激法や反復経頭蓋磁気刺激などが試みられている.

  • 平山 和美
    2023 年 39 巻 4 号 p. 288-298
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/01/27
    ジャーナル 認証あり

    本稿ではParkinson病(PD)とLewy小体型認知症(DLB)の幻視と錯視について解説した.PD患者に対して筆者らの行った質問調査の結果,幻視は同じ場所に同じ幻視が現れる場合が多いこと,多様式幻覚もあることなどが示唆された.また,錯視は幻視より有症率が高いこと,非常に多種の単純錯視が生じていることなどが示唆された.DLB患者に幻視が生じているときの注視位置と発言内容,風景版パレイドリアテストを行っているときの注視位置や発言内容,瞳孔反応に関する知見についても解説した.いずれの研究も,行動の観察と発言の聴取という神経心理学の古典的な方法の重要性を示すものと考える.

  • 池田 学, 石丸 大貴, 永田 優馬, 堀田 牧, 髙﨑 昭博, 中牟田 なおみ, 鈴木 麻希
    2023 年 39 巻 4 号 p. 299-307
    発行日: 2023/12/25
    公開日: 2024/01/27
    ジャーナル 認証あり

    神経心理学的ないし神経精神医学的根拠を活用した,神経変性疾患による認知症への対応を中心に論じた.神経変性疾患による認知障害は,基本的に進行性である.したがって,診察時に保たれている機能をいかに維持するか,低下が始まっている機能をいかに補助するかという点が介入の原則にある.一方,精神症状・行動異常は認知障害や神経症状と異なり,進行性に重症化するわけではなく,病期によって増悪したり消退したりする.また,精神症状・行動異常は,認知障害同様,各疾患によってプロフィールが大きく異なるが,心理・社会的な影響も受けやすく,必ずしも生物学的要因だけが関与しているわけではないことは,対応を考える上で重要である.

第47回日本神経心理学会学術集会一般演題
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