抄録
全国津々浦々に多種多様なおにぎりがある。ところが、おにぎりを観光対象とする研究は稀有である。本研究では、おにぎりの構成要素である、コメと具に関して先行研究ならびに官公庁の公表資料から数字を取捨し分析して議論の端緒をひらくよう試みた。次いで、全国で独自性のあるおにぎりの創作に取り組む事例をサーベイした。さらに、日本最古のおにぎりが発掘された石川県・中能登町において、おにぎりを観光資源として活用する事例を、マーケティングの定石にしたがい検証し議論した。おにぎりは、古来より漸進的かつ破壊的なイノベ―ションを繰り返し成長するフードであり、まさに「地域の特性を映す」フードの代表格と考えられる。