日本文学
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「教材の力」とは何か : 『葉っぱのフレディ』の第一次感想から(<特集>文学教育という可能性-子どもの世界をきりひらくために-)
鶴田 清司
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2000 年 49 巻 8 号 p. 27-35

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抄録

最近、私が作成したプランに基づいて担当教師が授業をするという共同研究があった。教材は『葉っぱのフレディ』(レオ・バスカーリア)である(全三時間、中学校二年)。生徒の第一次感想は、それがすぐれた文学教材であることを示した。言語形象による「問題喚起力」と「対話誘発力」が認められたのである。前者は生徒個人の<解釈<を生み出す力であり、後者は生徒間の<解釈<の相互交流(共感・対立・葛藤など)を生み出す力である。「中学生になって絵本を読むのは変だ」と言っていた生徒が「いのち」について深く考えるようになったのである。

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