日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
特集・〈演劇〉的空間と〈小説〉的空間—表現史としての近現代文学
菊池寛『昭和の軍神 西住戦車長伝』考
—伝記小説・演劇・映画—
田中 励儀
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2011 年 60 巻 11 号 p. 26-37

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抄録

昭和十四年、陸軍の要請を受けて著された、菊池寛『昭和の軍神 西住戦車長伝』は、通俗小説に堕すことを避けて、〈事実〉を資料に語らせる〈伝記小説〉の形を採った。それが歌舞伎や映画といった〈演劇〉的空間に移された時、それぞれのジャンルの特質から変貌を遂げる。〈小説〉的空間に属する原作と、菊池寛自身が書いた舞台脚本、他のライターが執筆したシナリオとを比較し、作家と戦争との関わりや、作品受容の実態を明らかにする。

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