國學院大学
2013 年 62 巻 2 号 p. 1-11
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古事記には、神武天皇の大后となった伊須気余理比売の誕生を語る丹塗矢伝承がある。この伝承は、稲の生育を促進させる雷神の大物主神が丹塗矢になり、水田の溝に流れてきて、溝の棒杭の神格化である三島の湟咋の娘の許を訪れるというものであり、稲の豊穣儀礼を背景としている。日向出身の神武天皇が、倭の大物主神の娘で摂津の三嶋の水田を背景とした伊須気余理比売を娶ることは、天皇が倭を中心とした稲の農耕祭祀を掌握したことを示している。
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