日本文学
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特集・中世文学における分類と配列
『勅撰名所和歌抄出』の配列からみる成立事情
―― 『十四代集歌枕』との共通性について ――
嘉村 雅江
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2015 年 64 巻 7 号 p. 36-45

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抄録

『勅撰名所和歌抄出』は、連歌師宗碩によって永正三年(一五〇六)年に編纂された歌枕書である。この書は地形別、イロハ順に配列されており、それまでの地形別、国順の歌枕書とは配列に大きな差異がある。この書に関しては、先行研究が『勅撰名所和歌要抄』の改編であることを指摘しているが、一方で『勅撰名所和歌要抄』を改編する際の原則と考えられる配列法に、一部乱れが存在し、その部分の例歌の典拠に問題があることも指摘されてきた。本論では、この『勅撰名所和歌抄出』の配列が乱れている部分に関して、『勅撰名所和歌抄出』の不自然な配列に関して『十四代集歌枕』との配列の一致を発見した。両者の類似は、『勅撰名所和歌抄出』の成立事情を解き明かす一端となると考えられる。

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