日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
特集・日本文学協会第71回大会(第二日目)「語り」をめぐる断層と創造
虚構論と語り論
――小川洋子「ハキリアリ」「トランジット」など――
中村 三春
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2017 年 66 巻 4 号 p. 12-22

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抄録

物語世界は物語文の原因として作られ、同時に物語文は物語世界を原因として作られたものと想定される。従って物語文が物語世界の次元に対して第二次の位置づけとなる局面が考えられる。その時、物語文は自己同一的なものではなく、媒介され引用されたものと見なされる。小川洋子の「ハキリアリ」および「トランジット」を例として、語りによる媒介の局面をとらえてみる。語りこそ、言語の〈トランジット〉(乗り継ぎ)にほかならない。

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© 2017 日本文学協会
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