日本文学
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特集・日本文学協会第71回大会(第二日目)「語り」をめぐる断層と創造
『源氏物語』のつくられた「語り」
――「関屋」巻を例に――
陣野 英則
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2017 年 66 巻 4 号 p. 2-11

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抄録

「物語音読論」以降、『源氏物語』では作中の女房(たち)の見聞にもとづく口頭の「語り」が筆記・編纂されている、という一種の物語生成の機構が読みとられてきた。しかし、それは「蓬生」巻のように典型的なケースにもとづく推論であった、たとえばその次の巻、「関屋」に注目してみると、「語りnarrative」に関しては「蓬生」と対照的な性格が際だっている。さらに「関屋」巻の巻末の言葉にも注意して、『源氏物語』のつくられた「語り」と、その実験的な叙述の一端を明らかにする。

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